GO OUT 飛び出す人だけが成功する時代 [ 坪田一男 ]
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はじめに
著者は、年間200冊の本を読みます。
本書は、多読をすすめる本ではありませんが、数多くの本を読むことによって、思いもよらない「出会い」があるのも事実です。
本書の目的は次の通りです。
現在のあなたの慣れ親しんだ世界(コンフォートゾーン)からゴーアウト(外に向かって出ていくこと)すると、思いもよらない「何か(イノベーション=新結合)」が生まれる。その結果、自分のキャリアが広がっていく。そしてそれが、これからの不確実で変化の激しい社会を生き抜くための唯一の方法である。このことを、本書を通じてみなさんにお伝えしたい。
みなさんは、海部陽介さんという方をご存じでしょうか。
海部さんは、国立科学博物館人類研究部人類史研究グループ長を務める人類進化学者です。クラウドファウンディングによって約6000万円の資金を集め、2016年から2019年にかけて、最初の「日本列島人」の大航海を再現する「3万年前の大航海 徹底再現プロジェクト」を実現させた人です。
そのプロジェクトの様子を克明に記したのが、2020年2月に刊行された『サピエンス日本上陸 3万年前の大航海』(海部陽介著・講談社)です。
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本書をお読みいただくうえでも、本書の執筆動機にもつながることなので、簡単に『サピエンス日本上陸 3万年前の大航海』の内容についてお話ししておきましょう。
「日本列島人」(海辺さんは日本という国が成立する前のことなので、日本人ではなく日本列島人と表現しています)はどこからやってきたのでしょうか。
「最初の日本列島人は、大陸から動物を追いかけながら、当時存在した陸の橋を歩いて渡ってきた」
このようなイメージが強く残るなか、海部さんは明確にそれを否定します。ホモ・サピエンスは、海を渡って日本列島に入ってきたのです。
問題は、現在のように衛星やGPSがない時代のこと、どうやって「向こう岸」を見つけたかです。
そして、最大の問題は台湾と沖縄の間に流れる「黒潮」です。
現在でもこの海域の航海は難所と言われているのに、造船技術が発達していない当時にどのようにしてこの難所を渡ったのでしょうか。
その謎を解明するために、海部さんは「3万年前の大航海 徹底再現プロジェクト」を立ち上げたのです。
ゴーアウトする性質は、日本人を含む人類の遺伝子に刷り込まれていることで、特別なことではないのではないか。
この本を手にしてくださった読者のみなさんが、現状のコンフォートゾーンからゴーアウトし、新しい地平で豊かな果実を手にされることを著者は願っています。