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【論文和訳】Sabrina Pasterski【Lectures on Celestial Amplitudes】2.1 Global Symmetries―Isometries of Minkowski Space

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目次

2 散乱の運動学

この講義では、4次元のミンコフスキー空間を考える。この空間は2次元の天球を有する。まず、散乱問題を時空と運動量空間の両方の観点から検討し、大域的な時空対称性とそれが天球と外へ向かう散乱データにどう作用するかに焦点を当てる。そのためには、ミンコフスキー空間の因果構造を見直す必要がある。またこの章では、さまざまな表記法と座標の規約(conventions)を設定する。

2.1 大域的対称性

 \mathbb{R}^{1, d+1}でのローレンツ変換 \mathbb{R}^dでの共形変換として作用する。この節の目的は、次の節で漸近的対称性に一般化するための準備として大域的対称性を復習し、これ以降に使用する表記法を準備することである。このトピックに特化した[22]は素晴らしい情報源である。

ミンコフスキー空間の等長変換

まず、3+1次元のミンコフスキー空間の等長変換から復習する。デカルト座標での線素(2.1)から始める。(2.2)のようにこの計量を保存する無限小座標変換 X^\mu\mapsto X^\mu+\xi^\muは定数4元ベクトル b^\muと反対称テンソル \omega_{\mu\nu}によって(2.3)のようにパラメータ化される。これは無限小並進とローレンツ変換に対応する。これに対応するベクトル場(2.4)に対するリー括弧積を取ると、これらの生成子が(2.5)のようにポアンカレ代数に従うことがわかる。今、これらの変換の有限版はローレンツ変換(2.6)と時空並進の半直積の形をとるポアンカレ O(1, 3)\ltimes\mathbb{R}^{1, 3}の元である。ローレンツ群は時空の原点を安定化させるポアンカレ群の部分群である。それは順時間的固有ローレンツ変換(2.7)と、パリティ変換と時間反転で関係づけられる4つの非連結な成分をもつ。(2.7)は上の無限小変換を累乗する(exponentiate)ことで得られる。


(2.8)の同型写像(isomorphism)は以下で中心的となる。 \{a, b, c, d\} \in \mathbb{C}に対して、一般的な M \in SL(2, \mathbb{C})を(2.9)のように書くことで、同型写像を以下のように証明することができる。パウリ行列を使って(2.10)のように定義できる。これにより、(2.11)のように4元ベクトルを2×2行列に写像し、その逆を行うことができる。Infeld-van der Waerden symbolsの絡み合う性質から、(2.9)の Mに対して(2.12)が得られる。ここで(2.13)である。これが \textrm{det}\Lambda = 1 {\Lambda^0}_0 \geq 1を満たすことを確かめるのは簡単である。また、反転 M\mapsto -Mの下での不変性にも注意する。これは(2.8)での \mathbb{Z}_2の商である。