yagibrary

あだ名のやぎと図書館のlibraryを組み合わせてyagibraryです。本から学んだことをみなさんに紹介します。

【論文和訳】Laurent Freidel, Marc Geiller, Wolfgang Wieland【Corner symmetry and quantum geometry】1 Introduction1

arxiv.org

目次

1 導入

量子重力は現代において最も魅力的かつ挑戦的な理論的問題の1つである。弦理論やAdS/CFTホログラフィー、ループ量子重力(以下、LQG)など、この問題に取り組むためにさまざまなトップダウンアプローチが提案されてきた。多くの成功を収めたものの、これらのアプローチは根本的に異なる基本原則に基づいており、両立しないように思われる。私たちの考えに欠けていたものは、ボトムアップの非摂動的な視点である。これは、半古典的な重力とその対称性から、強固な基礎と量子重力へのすべてのトップダウンアプローチが通過すべき試練を与える。それはホログラフィーの基礎的要素の一つを含んでいる。すなわち、固定境界条件を持つ重力系のハミルトニアンが完全にその境界上に含まれるという事実である。それはLQGの基本的な信条の1つである背景の独立性や、重力のダイナミクスがその対称性の表現であることを意味する等価原理の基礎も尊重される。局所ホログラフィーのアプローチは、ホログラフィーと対称性が表裏一体であるとみなす。このレビューでは、従来のホログラフィーとの関連についてのより一般的な説明はさておき、局所ホログラフィーとLQGの関係性と量子幾何学の登場などその結果のいくつかを紹介することに私たちは焦点を当てる。


特に、ゲージ対称性という、通常は物理的記述の単なる冗長性として理解されるものが、はるかにそれ以上のものであることを示す。それはコーナーと呼ばれる、エンタングル面を挟んだサブ領域の量子エンタングルメントを支配している。これらエンタングル面は、基礎となるゲージ不変性の物理的帰結である、無限次元対称群の表現を持っていることが示される。さらに、これらの対称性は非自明な交換関係を通じて量子幾何学の要素を表すことを示す。


この視点はLQGの最も顕著な技巧のいくつかと非常に近いものがある。特に、SU(2)ヤンミルズゲージ接続変数を使った、一般相対性理論ハミルトニアン形式に基づく量子リーマン幾何学ヒルベルト空間の厳密な構築である。この文脈では、空間の微分同相写像と局所SU(2)フレームの回転のような対称性が、物理的な状態を定義するための中心であった。SU(2)ゲージ対称性を重視することはキネマティックスピンネットワーク状態をラベルする量子数につながった。