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【本要約】坂本眞人【場の量子論(II) ファインマン・グラフとくりこみを中心にして】14.6.1 O(2)シグマ模型

目次

14.6 連続的対称性の破れとゼロ質量粒子

前節では、離散的対称性の破れを考察した。本節以降では、連続的対称性の破れを取り扱う。連続的対称性の破れの場合は、離散的対称性の破れにはなかった新しい性質が現れる。それはゼロ質量粒子の出現である。以下では、 O(2)対称性をもつ模型を用いて、連続的対称性の破れの性質を明らかにする。

14.6.1 O(2)シグマ模型

まず初めに、この節で考察する O(2)シグマ模型を与えておく。


2成分実スカラー \vec\phi(x) = \begin{pmatrix} \phi_1(x) \\
\phi_2(x)\end{pmatrix}からなるラグランジアン密度

 \displaystyle \mathcal L(\vec\phi) = \frac{1}{2}\partial_\mu{\vec\phi}^T\partial^\mu\vec\phi - \frac{(-\mu^2)}{2}\vec\phi^2-\frac{\lambda}{4}(\vec\phi^2)^2\tag{14.44}
を考える。ここで、 \vec\phi^2 \equiv \vec\phi^T\vec\phi = (\phi_1)^2+(\phi_2)^2である。前節同様、対称性の破れを引き起こすために \mu^2 > 0としておく。


 O(2)変換

 \displaystyle 
\vec\phi\to\vec\phi' = R\vec\phi, \quad R=
\begin{pmatrix}
\cos\theta & \sin\theta \\
{-}\sin\theta & \cos\theta \\
\end{pmatrix} \in O(2) \quad (0\leq\theta<2\pi)
\tag{14.45}
はベクトル \vec\phiの長さを変えないので、 \vec\phi^2は不変である。したがって、ラグランジアン密度(14.44)は O(2)対称性をもつ。ここで、 O(2) 2\times 2直交行列の集合
 \displaystyle 
O(2) = \{R=2\times 2実行列 \ | \ R^T = R^{-1}\}
\tag{14.46}
からなる群で直交群とよばれる。