物価から何がわかるのか
1. それは何の値段なのか
貨幣と商品の交換レート?
貨幣と商品の交換比率はいったいどうやって決まるのでしょうか。「自然に決まる」仕組みとはどのようなものなのか。ここにこそ、物価をめぐる経済学の探究の核心があります。
AとBという2つの商品の交換比率を考えます。交換比率は「魅力」によって決まります。では、商品の魅力は何で決まるかといえば、第一には、その商品の持つ特性によってです。その次に決め手となるのは、供給量です。
商品と貨幣の交換比率も同じように魅力によって決まるのでしょうか。
「狂乱物価」の真相
具体的な経済現象に照らして検討してみましょう。
日本で直近の大きな物価変動は、1974年のインフレです。CPI(消費者物価指数)が前年に比べ23%上昇しました。このインフレは、当時の福田赳夫蔵相の命名により「狂乱物価」とよばれています。
この時の現象は単純なものです。ガソリンなど石油関連製品の値段が上昇し、それと同時にCPIも上昇した。これだけです。
しかし、その後のデータを用いた検証によって、原油高→狂乱物価という因果関係ははっきりと否定されています。
真の原因は、日銀による貨幣の供給過剰です。
日銀によるドル買いと政府の財政拡張、この2つによって、中東戦争前夜の日本経済は、貨幣供給が過剰になっていたのです。