- (1) 社会保障の系譜 —— 近代産業社会とともに生まれ、それを支えてきた社会保障制度
- (2) 福祉国家の理念
- (3) 社会保障は壮大な制度の体系である
- (4) 社会保障の理解の難しさ —— ミクロの風景とマクロの風景の違い
- (5) 合理的無知と公教育の欠陥
- 参考文献
(1) 社会保障の系譜 —— 近代産業社会とともに生まれ、それを支えてきた社会保障制度
近代以前の社会にも救貧という考え方はありましたし、実際この種の救貧や施しのような行為はいつの時代にもどの国でも統治者は行なっていました。では、現代の社会保障はこれらといったい何が違うのでしょうか。
(2) 福祉国家の理念
民生の安定を図る
民生の安定とは、国民の生活・生計の安定を守る、ということで、人々が生活に困ることなく安んじて生活できるようにする、ということです。
当然のことですが、労働者は生きた人間です。使い捨てにするようなことをしていると、労働力はすぐに枯渇してしまいます。それでは社会は持続できません。
後の章でも述べますが、自由競争・市場競争にもルールが必要で、神の見えざる手が機能するためには、資本主義そのもののロジックからは生まれてこない、社会の構成員=競争に参加する者を律する行為規範が必要だということです。
近代資本主義と民主主義という枠組みの中で、社会の安定がなければ資本主義も成長していかない、持続できない、という考えから、第二次世界大戦後に福祉国家の理念の下に生まれたのが現代の社会保障です。
社会の発展を支える
社会保障のもう一つの機能は、民生の安定の延長線上にあります。社会の分裂を防ぎ、それを通じて社会の発展を支える機能です。
相互扶助の機能を代替する
産業革命によって、工場には大量の工場労働者が必要になりました。そこで、大量の農民を労働者として地域社会から都市に持ってきたわけです。結果として、多くの人々が、農村社会が持っていたインフォーマルな相互扶助のシステムから切り離されました。
(3) 社会保障は壮大な制度の体系である
(4) 社会保障の理解の難しさ —— ミクロの風景とマクロの風景の違い
自分には関係ない?
制度の全体像=マクロの風景と、市民一人ひとりにとってのミクロの風景が、もの凄く乖離している。そこに難しさがあります。