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あだ名のやぎと図書館のlibraryを組み合わせてyagibraryです。本から学んだことをみなさんに紹介します。

語彙力ゼロでも「好き」を言葉にする魔法のコツ

その感動、一言で終わらせていませんか?

大好きなアイドルのライブ、胸が熱くなった映画、人生を変えた一冊の本。

そのほとばしる感動を誰かに伝えたくて、SNSを開いたり、友人に話しかけたりする。しかし、いざ言葉にしようとすると、口から出てくるのは決まってこの一言。

「とにかく、やばかった…!」

もちろん、その「やばい!」には、万感の思いが込められています。でも、心の内で渦巻く複雑で豊かな感情が、その一言に集約されてしまうのは、あまりにもったいない。そして、こう感じてしまうのです。

「ああ、自分には語彙力がないからダメなんだ…」

もしあなたがそう思っているなら、朗報です。あなたの「好き」を伝えるのに、豊富な語彙力も、鋭い分析力も、実は必要ありません。

必要なのは、あなたの心の中にある感情を丁寧に拾い上げる、ほんの「ちょっとしたコツ」だけなのです。

なぜ、私たちの言葉は「やばい!」になるのか?

そもそも、なぜ私たちの感想は画一的な言葉に落ち着いてしまうのでしょうか。

一つの大きな原因は、SNSなどを通じて、他人の言葉が絶えず自分の中に流れ込んでくるからです。私たちは無意識のうちに、他人の感想や評価に触れ、「そういうものか」と影響を受けてしまいます。面白い映画を観た後、誰かの巧みな感想ツイートを読んで、「そうそう、それが言いたかった!」と自分の最初の感動を忘れてしまった経験はありませんか?

他人の言葉は、わかりやすく、まとまっていて、魅力的に見えます。その結果、自分の中から湧き上がる、まだ形にならない混沌とした感情の原石を、わざわざ時間をかけて磨き上げる前に、手近にある便利な言葉で済ませてしまうのです。

しかし、それではあなたの「好き」は、誰かの言葉の借り物にすぎません。あなたの感動は、あなただけのものです。それを表現する「自分の言葉」をつくることこそが、「好き」を伝える上で最も大切なことなのです。

「自分の言葉」をつくる、はじめの一歩

では、「自分の言葉」はどうすればつくれるのでしょうか。難しい文章レッスンは必要ありません。まずは、次のことを意識してみてください。

「他人」ではなく、「自分」に主語を置くこと。

例えば、「この映画は(主語)すごい」ではなく、「私は(主語)この映画の〇〇な点に心を動かされた」と考えてみるのです。

「推しが(主語)かっこいい」から一歩進んで、「私は(主語)推しの〇〇な表情を見たとき、胸が締め付けられるような気持ちになった」と、自分の心の動きを観察します。

ポイントは、評価や分析をしようとしないこと。ただ、自分の感情が「どう動いたか」をキャッチするのです。

  • どこに心を動かされた? (具体的なシーン、セリフ、表情、色、音など)
  • どのように感じた? (嬉しい、切ない、興奮した、穏やかになった、勇気が出たなど)
  • なぜそう感じた? (自分の過去の経験や価値観と結びついているから?)

このように、評価の言葉を探すのではなく、自分の心の動きを実況中継するような感覚で言葉を探すこと。それが、ありきたりな感想から抜け出し、「自分の言葉」を生み出すための、シンプルかつ強力なコツなのです。

あなたの言葉が、推しを輝かせる

「自分の言葉」で好きを語れるようになると、推し活はもっと楽しく、深くなります。

  • 推しへの解像度が上がり、今まで気づかなかった魅力が見えてくる。
  • あなたの言葉が、誰かに推しの魅力を伝えるきっかけになるかもしれない。
  • なぜ自分がそれを好きなのかがわかり、自分自身への理解も深まる。

推しを語ることは、あなた自身の人生を語ることでもあります。

さあ、今日から「やばい!」の一言で終わらせるのをやめて、あなただけの「好き」を、あなただけの言葉で紡いでみませんか?

その言葉は、きっとあなたの推しを、そしてあなた自身の人生をも、今よりさらに輝かせるはずです。

参考文献