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【本要約】田村耕太郎【地政学が最強の教養である】第5章 その他の地政学 インド

目次

インドの地政学

大陸が衝突して亜大陸となりヒマラヤ山脈が生まれる

インドは、かつては独立した大陸で、インド洋の南下の南半球のあたりにあった。インド大陸はプレートの動きで北上を続け、今から5000万年ほど前に、ユーラシア大陸と衝突。ユーラシア大陸と衝突後も、インド大陸は北上し続け、ユーラシア大陸を持ち上げながらその下にもぐり込む。これが今のヒマラヤ山脈からチベット高原に至る高地帯となる。

 

その結果、インド亜大陸の北部は天然の防波堤、ヒマラヤ山脈となっている。

 

インド亜大陸は、亜大陸と言われるだけあり、ヨーロッパよりも広い面積を持ち、多くの民族と言語が存在する。ただ、イギリスの植民地だったこともあり、国民の約1割が英語を話す。

 

約14億人の人口は現在世界2位だが、国連によると2023年には中国を抜いて世界一の人口大国となると見られる。

 

紀元前2500年頃から前1500年頃、インダス川の上流域でインダス文明が興った。インダス文明は、インド文明の原点であるが、この地域は現在ほとんどがパキスタン領にある。

 

統一国家の統治のうまさ故に資本主義に出遅れ植民地化

紀元前4世紀頃に、マウリヤ朝が最初の統一国家を形成。仏教を篤く信仰したアショカ王の時に最も栄えるがその後マウリヤ朝は衰退。インドは分裂状態となる。その後、グプタ朝がインドのほぼ全域の支配を回復。仏教は次第に衰え、ヒンズー教が全土に定着してくる。

 

しかし、8世紀頃からイスラム教勢力がインドへ浸透。デリー=スルタン朝を経て16世紀初めにムガル帝国が興り、ほぼインド全土を統一。16世紀後半の第3代アクバル大帝の時に南インドに進出し、ムガル帝国のインド支配が確立。

 

最初、インドに入ってきたイスラム教は、イスラム教では異端とされたヒンズー教と仏教の偶像崇拝を否定し、聖戦を仕掛ける。仏教の方はインドにおいて急速に衰退するが、ヒンズー教は民衆に浸透していてイスラム教による聖戦に激しく抵抗。アクバル大帝はヒンズー教徒との融和を図った。

 

アクバル大帝は官僚制と強力な軍事力による中央集権体制を敷き、巨大なムガル帝国を運営。そのため、西欧や日本で生まれた「封建主義→資本家」の流れが社会に浸透していかなかった。