yagibrary

あだ名のやぎと図書館のlibraryを組み合わせてyagibraryです。本から学んだことをみなさんに紹介します。

【理論物理学のための幾何学とトポロジーⅠ】2.1.1 写像の諸定義1

2.1 写像

2.1.1 諸定義

 X, Yを集合とする。 Xから Yへの写像とは、任意の x\in Xに対してある規則 fに従って y\in Yが対応することをいい、次のように書く。


 f : X\to Y\tag{2.1}

写像 fが具体的に与えられている場合は次のように書いてもよい。


 f : x\mapsto f(x)\tag{2.2}

 Xの2つ以上の元が、1つの元 y\in Yに対応していても構わない。写像 fにより y\in Yにうつされる、 Xのすべての元からなる部分集合は、 y fによる逆像と呼ばれ、 f^{-1}(y)=\{x\in X|f(x)=y\}と書く。 X写像 f定義域 Y値域と呼ぶ。写像 fとは集合 f(X)=\{y\in Y|あるx\in Xに対してy=f(x)\}\subset Yのことである。これを \mathrm{Im}fと書くこともある。写像は、定義域と値域を特定してからでないと定まらないことに注意されたい。例えば、 f(x)=\mathrm{exp}(x)を考える。仮に定義域、値域ともに実数全体 \mathbb{R}であるとすると、 f(x)=-1は逆像を持たない。しかしながら、定義域、値域を複素平面 \mathbb{C}に置き換えると、 f^{-1}(-1)=\{(2n+1)\pi i|n\in\mathbb{Z}\}であり、明らかに空集合ではない。写像を定義するときは、 f自身のみならず定義域、値域も重要である。