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【理論物理学のための幾何学とトポロジーⅠ】2.1.1 写像の諸定義2

例2.1 写像 f : \mathbb{R}\to\mathbb{R}, f(x)=\sin xが与えられたとする。これを f : x\mapsto\sin xと書いてもよい。定義域、値域は \mathbb{R}であるが、像 f(\mathbb{R})は閉区間 [-1, 1]である。 0の逆像は f^{-1}(0)=\{n\pi | n\in\mathbb{Z}\}となる。同じ定義式で、 f : \mathbb{C}\to\mathbb{C}, \ f(x)=\sin x=(e^{ix}-e^{-ix})/2iを考える。この場合、 fの像 f(\mathbb{C})複素平面全体 \mathbb{C}である。

定義2.1 写像がある特別な条件を満たすとき次のような呼び方をする。

  1. 写像 f : X\to Yに対して、 x\neq x'ならば f(x)\neq f(x')であるとき、 f単射(あるいは1対1写像)であるという。
  2. 任意の y\in Yに対して、 f(x)=yとなる x\in Xが少なくとも1つ存在するとき、写像 f : X\to Y全射(あるいは上への写像)であるという。
  3. 写像 f : X\to Y単射かつ全射であるとき、 f全単射であるという。

例2.2  f : \mathbb{R}\to\mathbb{R}, \ f(x)=ax \ (a\in\mathbb{R}-\{0\})で定義される写像全単射であるが、 f(x)=x^2単射でも全射でもない。また、 f(x)=\exp x単射だが全射ではない。