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【理論物理学のための幾何学とトポロジーⅠ】2.1.1 写像の諸定義0

第2章 数学からの準備

本章では、写像、ベクトル空間、位相に関する基礎概念を紹介する。なお、集合論微積分、複素解析線形代数等の学部レベルの内容は既知とする。


本章の主な目的は、前章で概要を述べた物理学における問題への多様体論の応用を学ぶことにある。ベクトル空間、位相という2つの概念は、ある意味で多様体の骨組みにあたる。大雑把にいえば、多様体とは局所的にEuclid空間 \mathbb{R}^n(あるいは複素空間 \mathbb{C}^n)のように見えるが、大域的には曲がった空間のことである。多様体の第一近似として、多様体の一部分をEuclid空間 \mathbb{R}^n(あるいは \mathbb{C}^n)にモデル化することができる(例えば、閉曲面の任意の点のまわりの小さな領域は、その点における接平面で近似できる);これがベクトル空間としての考察を可能にする点である。一方、トポロジーでは多様体全体の形状を考察する。したがって、ここではある種の’ものさし’を用意して多様体の性質を調べ、分類したい。トポロジーでは分類のものさしに従って、代数的トポロジー微分トポロジー、組み合わせトポロジー、一般トポロジー等の分野に分かれる。前についた形容詞がそれぞれの分類の立場を示している。

2.1 写像

2.1.1 諸定義