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【読書メモ】【経営戦略の教科書】講義1 経営戦略とは何か

経営戦略によって企業に魂が宿る

経営戦略は企業経営において最も重要な根幹部分です。

端的に言えば、経営戦略とは経営の「意思」であり、多様なステークホルダーとの「約束」です。

企業は設立手続きを行い、登記をすれば誰でもつくることができます。しかし、それだけでは所詮「箱」をつくったにすぎません。経営戦略を練り込み、明らかにすることによって、企業に「魂が宿る」のです。

合意された組織の目標

戦略には多様な定義がありますが、その語源は軍事用語だと言われています。

ビジネスの世界において、戦略という言葉を最初に使ったのは、アルフレッド・チャンドラーです。彼は1962年に出版した『経営戦略と組織』という名著の中で、戦略を「企業の長期的目標と目的の決定、行動指針の採用、目的を達成するために必要な資源配分」と定義しました。近代経営における戦略はまさにここが起点と言えます。

こうした偉大な先達の定義をもとに、著者は戦略を「合意された組織の目標」であると定義しています。この「合意された」というところが重要です。

組織に関わるステークホルダーのマジョリティが納得し、共感するものであることが戦略の重要な条件と言えます。

経営とは価値創造である

著者は企業経営の本質は、「価値創造」にあると考えています。価値創造に成功しなければ、利益を上げることも、株主に還元することもできません。

持続的な差別化こそ企業の目標

企業経営を考える際にもうひとつ考慮しなければならない要素があります。それが「競争」です。

競争という環境下においては、顧客に「選ばれる価値」を生み出さなくてはならないのです。

「選ばれる価値」とは、「差別化された価値」のことです。

模倣が困難で、持続性の長い差別化を目指すことが必要です。すなわち、差別化こそ企業活動の目標と言えます。

自分たちが生み出す「価値を特定」する

ここまでの話をまとめると、「持続性の高い差別化された価値を生み出す」ことが企業活動の目標であると言うことができます。しかし、企業にとってどのような価値を生み出し、どのような差別化を実現するかの選択肢はけっしてひとつではありません。

そうした選択肢の中から、自分たちが生み出す「価値を特定」することが必要です。この「価値の特定」こそが経営戦略です。

経営戦略には階層がある

経営戦略は大きく三つの階層 —— 「全社」「事業」「機能」に分けて考えることができます。

企業全体としてどのような方向性に基づいて、どのような事業に取り組んでいくのかという全体像を示すのが「全社戦略」(Corporate Strategy)です。個々の事業単位でどのような価値創造をし、差別化を実現するかを明らかにするのが「事業戦略」(Business Strategy)です。

さらに、それぞれの事業戦略は、技術・開発、購買、生産、販売、財務、人事など各機能部門レベルの「機能別戦略」(Functional Strategy)に落とし込まれます。

ここで大事なのは、階層間の「整合性」です。

著者が経営戦略を「合意された組織の目標」と呼ぶのは、まさにこの整合性、一貫性が大切だと信じているからです。

ケーススタディ1 コマツの「ダントツ戦略」