- 「デイワン仮説」を持て
- 通説を疑う
- ズームインからズームアウトへ
- AIに負けない発想とは?
- 盲点(ブラインド・スポット)を突く
- 「悪い子」はどこに?
- ダイバーシティ組織では、盲点が見えやすい
- OBゾーンに打ち込む
- それは本当に、トレードオフの関係か?
- 仮説検証とリーン・スタートアップ
- 壊す勇気
- アンドンを引く勇気
- 本質に近づくスパイラル・アプローチ
- 答えはその人自身の中にある
- 【この章のまとめ】
- 参考文献
「デイワン仮説」を持て
少ない情報の中で、最初の仮説は、どのように立てたらいいのだろうか?
これについては、コンサルは、まず「デイワン(Day 1)仮説」を持て、と教育されてきた。
デイワン、つまり、コンサルに入った最初の日に仮説を立てるわけだ。
通説を疑う
最初に、いかにはっとするような仮説を立てられるか。それが、コンサルの腕の見せどころとなる。さて、どうするか?
表面的に課題だ、問題だ、と騒いでいることに対して、疑いを持つことだ。
あまのじゃくになるということは、言い換えれば、通説を疑う、ということでもある。世の中で、普通はこうだ、こうでなければいけない、と言われていることに対して疑う。実際、業界の常識は世の中の非常識なのだ。
これは視点を変える、ということでもある。視点を変えて、いまやっていることを、いったんゼロベースで見てみると、結構無駄なプロセスがたくさん存在することに気付くものだ。
ズームインからズームアウトへ
感度のいい仮説を導き出すには、虫の目で見るのではなく、鳥の目で見ることが有効だ。そうやってソリューションスペースを広くとる。
これを著者は「ズームイン思考からズームアウト思考へ」と呼んでいる。全体を広く俯瞰する「ズームアウト」によってはじめて、これまで見落とされてきた本質に気づく。
AIに負けない発想とは?
人間がAIに負けないためには、非常識な見方、あり得ない組み合わせ、これまでになかったパターンを見つける以外ない。
さらに言えば、未来の常識になるようなことを見つける発想だ。過去のことはすべてAIの中に記憶されている。だから過去には存在しない、ある種、非常識な組み合わせから生まれる発想が、人間ならではの問題解決となる。
したがって、当たり前のところから出発して、普通の人は考えないところに答えを求めていくことが、優れたコンサルの発想となる。
盲点(ブラインド・スポット)を突く
企業においても、業界の常識、自社の不文律にこそ、課題の本質が隠されていることが少なくない。そこをブラインド・スポット(盲点)と呼ぶ。
逆に言うと、そういう業界の非常識のようなものは、外の人間、特にアタッカーから見ると、格好のビジネスチャンスとなる。
まずは、シミュレーションしてみる。もし、現在の「慣行」を格好の標的と見る者が現れたらどういうことになるだろうか。自分たちがそれを仕掛けないまでも、そういう事態が起こった時に備えて、自分たちのなかにそのようなセルフ・アタッカー・チームを用意しておく。
業界の慣行以外にも、ブラインド・スポットはたくさんある。それまであまり相手にしてこなかった顧客層というのも、そうだ。
PlayStation対Wiiの例。
「悪い子」はどこに?
会社としても定期的に、そもそも自分たちは何のために存在し、何をすべきか、なぜそれができないのかをゼロベースで考えてみる機会が必要である。
ダイバーシティ組織では、盲点が見えやすい
ダイバーシティは、組織のブラインド・スポットを見つけ、カバーするなめの有力な手段となるのだ。
多様な価値観がぶつかることによって、発想が多様化する。そういう意味では、できるだけ社外の人との接点を増やしていくことも、ダイバーシティと同様の効果を持つ。これを著者は、「組織の表面積を広げる」という言い方をする。
稲盛和夫さんのアメーバ経営という仕掛けが優れているのは、ユニットが小さくなることによって、外に接する表面積が広くなるところにある。
規模と柔軟性という二律背反を乗り越える知恵がカギとなるのだ。