- 失業を「否定」する人たち
- 狩人のジレンマ―全員で鹿を狙うか、ひとりでうさぎを狙うか?
- なぜ、労働者は家や車やトマトと違うのか?―ワシリーを雇うシンプルな理由
- 先行きへの楽観と悲観―ワシリーを雇わない複雑な理由
- 悪魔が潜む場所―「マネー・マーケット」とは何か?
- 参考文献
著者は、値段さえ下げればどんな家でも売れるだろうとからかったのだ。
だが、失業についても同じように考える人がいる。選ばなければ仕事なんていくらでもあるだろう、と。
失業を「否定」する人たち
アンドレアスが家を売ることと、ワシリーが労働力を売ることは違うということを理解しなければならない。
狩人のジレンマ―全員で鹿を狙うか、ひとりでうさぎを狙うか?
ここで大切なのは、次のポイントだ。
- 狩人たちは、それぞれうさぎを追いかけるより、みんなで協力して鹿を仕留めるほうがいいと思っている。
- 狩人たちは、ほかの仲間がみんな鹿狩りに集中していると確信できれば、それぞれ自分も鹿狩りに集中できる。
- 全員が完全に心をひとつにして鹿を仕留めると信じられたら、完全に心をひとつにして鹿を仕留められる。反対に、もしそう信じられなかったら、仕留められない。
これは「楽観主義の力」を示す好例であると同時に、「悲観主義の悪魔的な引力」を示す好例でもある。
なぜ、労働者は家や車やトマトと違うのか?―ワシリーを雇うシンプルな理由
マリアのようなほかの事業経営者たちも、先行きを明るいと感じ、消費者がこれからも自分たちの製品やサービスに十分なおカネを払ってくれると信じられたら、ワシリーやほかの失業者を雇い入れるだろう。
先行きへの楽観と悲観―ワシリーを雇わない複雑な理由
失業否定派は間違っている。労働市場は労働力の交換価値だけで動くものではない。経済全体の先行きに対する楽観と悲観に左右されるのだ。