- 1. 歴史は繰り返す:「映画」を見ているような感覚
- 2. 私たちは今どこにいるのか?:「ステージ5」から「ステージ6」へ
- 3. ミネアポリスの事件が意味するもの
- 4. 「疑わしきは、逃げろ」
- 5. 私たちに残された道
— Ray Dalio (@RayDalio) 2026年1月26日
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先日、世界最大のヘッジファンド創設者であり、歴史的なサイクル研究で知られるレイ・ダリオ氏が、現在の緊迫する情勢について沈黙を破り、非常に重要なメッセージを発信しました。
タイトルは『お金、内戦、国際戦争、ミネアポリス、そしてその先へ — 大局的な視点から』。
ミネアポリスで発生したICE(移民税関捜査局)と抗議者の衝突、そして死者が出た事件を受けて、彼が「歴史のサイクル」という観点から今何が起きているのかを分析したものです。その内容は、私たちが今、まさに「引き返せない一線」を越えようとしていることを示唆する衝撃的なものでした。
今回は、このダリオ氏の論考のポイントを整理し、私たちが直面している現実について考えたいと思います。
1. 歴史は繰り返す:「映画」を見ているような感覚
ダリオ氏は冒頭で、現在の状況を「何度も見てきた映画を見ているようだ」と表現しています。
彼はこれまで、過去500年の帝国の興亡を研究し、通貨、国内政治、国際秩序が一定のサイクル(ビッグ・サイクル)で動いていることを提唱してきました。通常、このサイクルは約80年周期、つまり「人の一生」ほどの長さで回ります。
前回の秩序崩壊は1930年〜1945年。そして今、戦後の秩序が再び崩壊の危機に瀕しているのです。彼にとって今のニュースは、突発的な出来事ではなく、歴史の方程式通りに進んでいる必然のプロセスに見えています。
2. 私たちは今どこにいるのか?:「ステージ5」から「ステージ6」へ
ダリオ氏の「ビッグ・サイクル」理論では、国家の衰退プロセスをいくつかのステージに分けています。
- ステージ5:既存秩序の崩壊前夜(劣悪な財務、激しい対立)
- ステージ6:内戦・革命による秩序の崩壊
彼の診断によれば、米国は今、「ステージ5からステージ6へと移行する瀬戸際」にいます。
危険なシグナル「毒の混ざり合い」
彼が指摘する、内戦や革命を引き起こす典型的な条件(Toxic Mix)は以下の3つです。
- 国の借金漬け(劣悪な財務状況)
- 巨大な格差(富、所得、価値観の分断)
- 深刻な経済ショック
この3つが揃った時、社会は無秩序へと向かいます。歴史的に見れば、ここで適切な投資(教育やインフラ)が行われれば回避可能ですが、「ステージ5」では政治的対立が激しすぎて、まともな政策が打てなくなります。
3. ミネアポリスの事件が意味するもの
今回の論考で最も背筋が凍るのは、足元の**ミネアポリスでの事件(ICE抗議者の殺害)**に対する分析です。ダリオ氏は、これを単なる暴動ではなく、次のステージへの明確なトリガーと捉えています。
彼が挙げる「内戦(ステージ6)」入りの具体的なマーカーは2つです。
- 戦闘で人々が死に始めること
- 死者が出ると、対立は感情的になり、勝者が決まるまで止まらなくなります。
- 中央政府 vs 州政府の権限争い
ダリオ氏は、米国は今「火薬庫(tinderbox)」であり、30%の国民が「国を正すためには暴力もやむなし」と考えている現状を危惧しています。
4. 「疑わしきは、逃げろ」
投資家としての冷徹なアドバイスも含まれています。
「疑わしいときは、逃げろ(When in doubt, get out)」
内戦や革命の初期段階では、まだ多くの人が「まさか自分の国で」と現実を直視しません。しかし、資産凍結や移動制限(資本規制)が始まってからでは遅いのです。 歴史的に見て、富裕層や知識層がターゲットにされやすく、安全な場所へ資産や身を移すのは「扉が閉ざされる前」でなければなりません。
5. 私たちに残された道
非常に暗い見通しですが、ダリオ氏は完全に希望を捨てたわけではありません。 歴史の教訓として、「熟練した協力(skilled collaborations)」こそが、内戦で富と権力を奪い合うよりもはるかに良い結果をもたらすと説いています。
しかし、そのためには「断絶した相手と手を組む」という、現在の二極化した社会では最も困難な決断が必要です。
トランプ大統領が戦いを激化させるのか、それとも融和策をとるのか。ミネアポリスでの対応が、今後の80年を決める分岐点になるかもしれません。
【編集後記】
2026年の今、私たちがニュースで見ている映像は、教科書に載るような「歴史の転換点」そのものです。ダリオ氏の言葉を借りれば、私たちは歴史のサイクルの奴隷になるのではなく、仕組みを理解し、備える必要があります。
彼の著書『世界秩序の変化に対処するための原則』を改めて読み返す時が来たようです。
Reference: Ray Dalio, "Money, Civil & International War, Minneapolis, and Beyond—in Perspective"
— Ray Dalio (@RayDalio) 2026年1月26日
